Case Study

事例を知る

組織が変わる、仕事が変わる

機械学習基盤を使ってクリエイティブな仕事を進めている事例を紹介します

読売グループのデータ分析基盤「yomiuri ONE」を
超短期で構築した
プロジェクト

世界最大の新聞発行部数を誇る読売新聞社は、“新聞 with デジタル”と呼ぶ戦略を掲げ、新聞読者や潜在顧客について深く知ることで新たな価値創出を目指しています。また、読売巨人軍やよみうりランド、読売旅行など多数の顧客を抱える企業のデータを活用することで、読売新聞グループとしてのシナジーを生み出していくことも重要課題です。これらを実現するための統合データ基盤「yomiuri ONE」を、データ分析を主業務とする3社(GRI、truestar、エクスチュア各社)のコンソーシアムと共に、4ヶ月という極めて短い期間で構築しました。

後列
  • エクスチュア株式会社

    大崎敦 様/前原武 様/大縄弘毅 様

  • 読売新聞東京本社

    山本穂高 様

  • 読売新聞グループ本社

    竹内勇希 様

  • 読売新聞東京本社

    高橋健太郎 様

  • 株式会社truestar

    齋藤裕介 様/田丸翔一郎 様

前列
  • 株式会社GRI(当社)

    古幡征史/斉藤浩樹

データ分析基盤の構築に関する
技術的なまとめ

  • ・読売グループの各ウェブサイトやアプリの行動ログをGoogleアナリティクス等で収集
  • ・アクセスログに加え、読売グループ各社のトランザクションデータと顧客マスタをETL(Extract(抽出),Transform(変換),Load(格納))ツールのMatillionを介して収集
  • ・収集されたデータをGoogleクラウド上の列指向データベースであるBigQueryに格納
  • ・Matillionを利用してデータ分析用のデータウェアハウスやデータマートをBigQuery上に構築(ユーザー突合、ユーザー属性の整備、ユーザー行動属性の整備)
  • ・整備されたデータを基に、可視化ツールのData PortalやTableauを活用して可視化分析を行い社内共有
  • ・ユーザーをセグメント化し、広告配信システムと連携することで効率的な広告配信を実現

プロジェクト成功の秘訣を探るため、プロジェクトメンバーに座談会形式でインタビューしました。

CDP構築に至る背景
新しい価値の創造を目指して

当社 古幡

CDP(カスタマーデータプラットフォーム)の構築、すなわち読売新聞グループを横断したデータ分析基盤構築プロジェクトが発足した背景をお教えください。

読売新聞グループ本社 竹内 様

2019年2月に新サービス「読売新聞オンライン」を開始しました。読売新聞の購読者であれば、追加料金なしで読売新聞オンラインを利用できる読売ID会員になる仕組みです。会員数は順調に増加しています。しばらく自分たちでGoogleアナリティクスを利用したユーザー行動分析を進めていましたが、単純にデータを収集するだけではデジタル化の効果は出ないことに気付きました。特に、既存の社内データと組み合わせた分析に大きなハードルを感じました。

同時期に、データを価値創造につなげたいという要望が多くの部門から出てきました。特に広告部門で、データを使った新しいビジネスの仕掛けが必要とされていました。また、読売新聞グループ全体として、データを統合してシナジー効果を生み出さなければならないという判断もありました。

読売新聞東京本社 山本 様

以前、DMP(データマネジメントプラットフォーム)という言葉が流行りだしたときに、社内データを活用しようと試みました。しかしながら、男女比ですら分析するのが困難でした。個人情報の問題なども絡んでデータの扱い方の整理が進んでいなかったのも一因です。そんな経験から、自分たちで分析できるデータ基盤がないと生き残っていけないという危機感を持ちました。

読売新聞グループ本社 竹内 様

2020年の初め頃、GRI社と3ヶ月の短期間で読者の会員分析や離反予測をするプロジェクトを実施しました。このプロジェクトで分析の有用性や必要性が明らかになったため、正式にRFP(提案依頼書)を書き、多くの会社からCDP構築プロジェクトの提案をしてもらうことにしました。結論としては、このコンソーシアムを選んだことは良い選択だったと思います。

当社 古幡

RFPを書く上で、社内の各部署をどのように組織化しましたか?

読売新聞グループ本社 竹内 様

主に3つのミッションを持つ各部署のメンバーが集まりました。読売新聞グループとしてIDやデータの統合を進めるミッション、読売新聞オンラインをはじめとした自社メディアのユーザー分析を進めて読者サービスの向上につなげるミッション、クッキーレス時代を見越してデジタル広告の収益を上げるミッションです。各部署から選ばれた社員を「コアメンバー」としてチーム化し、対等な議論と即断即決ができる体制をつくりました。社内でも技術レベルの高いエンジニアを巻き込めたこともあり、あらかじめ注意しないといけない点をリスト化して、複雑な課題もスムーズに解決法を見つけられました。アドテク分野は難易度が高かったのですが、デジタル広告部門のメンバーが知見を提供してくれたので、クッキーレス時代にも対応できるソリューションに到達できたと考えています。

当社 古幡

RFPを受領して、弊社は当初、提案すべきか悩みました。読売グループという非常に多岐にわたるデータを分析する基盤を、極めて短い期間で構築するという依頼内容でしたので、急いで大規模プロジェクトを組成する必要があり、そのための社内リソースが不足していたためです。そこで、データ分析に強いtruestar社やエクスチュア社とオンラインで数回の打ち合わせを行いました。各社の過去の経験値を理解したことで、プロジェクトを組成できるイメージを持つことができました。

弊社の提案のポイントは、複数のベンダーが対等なコンソーシアムを形成し、一丸となってプロジェクトに挑むというものです。データ分析について多く知っているわけではないシステムインテグレータによる基盤構築と異なり、データ分析を熟知しているユーティリティの高いメンバーが、互いの得意分野を生かして仕事を任せ合いながらプロジェクトを進め、データ分析がしやすいCDPを高速で構築していく案でした。

読売新聞グループ本社 竹内 様

その体制は理想だと思います。このメンバーで行けるという確信はいつ生まれましたか?

当社 古幡

RFPの中にいくつか技術的にリスクになりうる点がありました。その点に関して事前に各社と意見交換を行った際、プロジェクトに入る予定のメンバーから過去の経験に基づいた適切な解決案を聞くことができ、きちんと進むイメージを強く持ちました。

プロジェクトで何を構築したか
広告との連携を含めたデータ分析基盤

当社 古幡

プロジェクトで構築した基盤「yomiuri ONE」について教えてください。また、プロジェクトを開始してから、想定外のことはありましたか?

読売新聞グループ本社 竹内 様

特徴の1つは、読売新聞グループのウェブ・アクセスログを統合した形で扱えるデータ分析基盤であるということです。IDユーザーの分析基盤であるのはもちろんのこと、アノニマスユーザー(IDを持たないユーザー)の行動履歴についても、高いレベルで分析可能となっています。また、読売グループ各社の間で異なるID会員データや各ウェブシステムのログについても、ユーザー突合を行っています。

読売新聞東京本社 山本 様

ウェブ・アクセスログや他のシステムのデータも1か所で扱える環境ができました。以前は各システムを担当しているメーカーにデータ抽出の依頼をしていたのですが、今は自分たちで好きなようにデータを扱えるようになりました。2、3年前からずっと作りたいと思っていたものが4か月という短期間で構築できたのは誇るべきことと思っています。

読売新聞グループ本社 竹内 様

プロジェクトの開始前は、「まずはデータをきちんと一つの箱(CDP)に格納しよう。分析や広告連携は何とかなるだろう」というくらいに思っていました。GRI社との先行プロジェクトでは短期間でそれらを達成したためです。ただ、データビジネスへの社内の注目が急速に高まってきたことで、早期の成果を求められていました。RFPはやや非現実的なスケジュール感だったかもしれません。

読売新聞東京本社 山本 様

私は経験上、データの収集、格納、クレンジングが大変なのを知っていたので、短期間で実装することには、ある程度のリスクがあるだろうと思っていました。

読売新聞グループ本社 竹内 様

楽観的な考えに基づいたプロジェクト計画ではありましたが、最終的には非常にコストパフォーマンスの良いCDP構築になった実感があります。

エクスチュア株式会社 前原 様

データの収集だけだったら3カ月で構築できるかもしれないのですが。広告配信システムとの連携を含めることは、かなりハードルが高かったです。

読売新聞グループ本社 竹内 様

広告との連携に関して言えば、デジタル広告で近年大きな課題になっているITP(インテリジェント・トラッキング・プリベンション)についても解決できました。非ログインユーザー、例えばIDを持っていない人についてもちゃんと推定属性や行動属性を把握して、ニーズに合った広告を提供できるようになりました。

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